インボイスのQ&A

インボイス制度の開始が目前に迫ってきました。
今回はクライアントの方からよくいただくご質問をQ&A形式でお伝えしたいと思います。

Q:インボイスの登録は必要ですか。
A:シンプルな質問ですが、一番多いお問合せが登録必要の有無です。事業者の状況に応じてその回答は異なってきます。
元来、消費税の課税事業者であればインボイスの登録をしない理由がないため必然的に必要であると考えます。
ただ、免税事業者の方からインボイスの登録が必要かと問い合わせがあった場合は即答しかねるのが現状です。なぜならインボイスの登録事業者になると同時に消費税の課税事業者となりますので、これまで申告納税していなかった消費税の税負担が増えるためです。
個人的な見解ですが、取引の相手先に消費税の課税事業者が多い場合であれば2割特例という税負担を軽減する制度があるため登録を検討した方が良いのではと考えています。逆に取引の相手先に消費税の課税事業者が少ない場合であれば経過措置(最初の3年間は80%、その後の3年間は50%をインボイス発行事業者以外の取引であっても仕入税額控除可能とする措置)があるため、まずはしばらく様子を見てからインボイスの登録を検討されてみてはとお伝えするケースが多いです。

Q:インボイスに登録しましたが通知番号を紛失してしまいました。登録番号を確認する方法はありますか。
A:通知を電子データにより受領している場合には紛失の心配は少ないのですが、書面で受領している場合には紛失のリスクがあります。もし紛失した場合には法人であれば国税庁適格請求書発行者公表サイトにアクセスし法人番号を入力することにより確認が出来ます。(法人の場合はアルファベットのTに法人番号の13桁が登録番号になります。)個人事業主の場合には国税局インボイスセンターに電話で問い合わせをすることにより番号を確認出来るようです。
原本の再発行の手続きには時間を要しますので、書面で受領している場合には厳重に登録番号を保管下さい。

Q:登録の効力はいつから発生しますか。
A:登録が完了している場合には既に通知を税務署から受けていると思いますが、その番号の効力はインボイス制度開始の令和5年10月1日から生じます。
ただし取引先へ番号を伝えたり取引先の番号を確認する等の事前準備は早いに越したことはありません。

Q:例外的にインボイスを交付しなくてもよい場合があると聞きましたが、どんな場合ですか。
A:3万円未満の公共交通機関の利用時及び自動販売機の利用時等、インボイス発行事業者が行う事業の性質上、発行が困難な場合には交付が免除される特例があります。
また小売や飲食業など不特定多数の者との取引を行う事業については、書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称の記載が不要となる簡易インボイスを交付することもできます。

Q:受領したインボイスの保存は必要ですか。
A:消費税の計算(仕入税額控除)のために保存が必要です。例外的に令和11年9月30日まで、基準期間の課税売上高が1億円以下の事業者は税込1万円未満の取引については、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除を適用できます。

インボイスが導入されると税の負担と同時に税額計算のための事務負担も懸念されます。
本当に導入するのかと未だに懐疑的に思う部分もありますが、不安な点や疑問点は最寄りの税務署や税理士に相談しながら導入に向けた準備を進めていただきたいと思います。