独占禁止法の問題となる取引について

いよいよ来月からインボイス制度の導入が始まります。
今回もインボイスについて書いていきたいと思います。

免税事業者のお客様から、インボイスの登録をしないと仕事を貰えなくなるのでは、若しくは取引価格が減額されるのではという心配の声を多くいただきます。
前提として免税事業者からの課税仕入についても、仕入税額と見なして一定割合を控除できる経過措置(来月以降、令和8年9月30日までは仕入税額相当額の80%、さらに令和11年9月30日までは仕入税額相当額の50%)がありますので、取引価格から消費税10%相当額を一方的に引き下げると言ったことは独占禁止法上問題となります。

免税事業者の仕入先との取引について、インボイス制度を契機として取引条件を見直すこと自体は問題にはなりませんが、見直しをする場合は独占禁止法や下請法上の問題とならないように注意が必要です。

では具体的にどのような行為が独占禁止法等の問題となるのか事例で紹介したいと思います。
ケース1.登録事業者(課税事業者)になることを要請すること
→問題なし(あくまで要請であり強制ではないため)

ケース2.登録事業者となった場合には取引条件の変更なし、登録事業者とならない場合には消費税相当額を段階的に引き下げるということを通知すること
→問題なし(登録の選択肢は免税事業者にあるため)

ケース3.登録しなければ取引をやめる若しくは価格を引き下げると一方的に通知すること
→同意のない一方的な行為であるため問題あり

独占禁止法や下請方上問題になるポイントは双方の合意があるかどうかという点です。
一方的な通告または通知ではなく、免税事業者自身が選択できる状態であれば問題なしです。

インボイス導入後、取引先との取引に心配な方は、まずこちら側に登録についての選択肢があるかどうかを確認し、それがない場合には取引先に独占禁止法に当たるという事をお伝えして、互いに合意の上で取引を行いましょう。