ふるさと納税制度の見直しについて

今月からいよいよインボイス制度が始まりました。
租税の原則は「公平・中立・簡素」とされていますが、どんどんと日本の税制がこの3原則から遠ざかっていくように思えてなりません。

さて、10月からふるさと納税制度の見直しがありましたのでご紹介します。

ふるさと納税という言葉はよく聞くけど、詳しくは分からないという方もいらっしゃるかもしれませんので、その誕生から現在までを時系列とともに振り返ってみたいと思います。
もともとは都市と地方の税収に格差があったためにその格差を是正するという目的で今から15年前の2008年に作られた制度です。「ふるさと」という名前ですが実際は好きな地方自治体に寄附をすることができ、2,000円の負担は生じるもののそれ以上の寄附金額は各自の上限額まで所得税・住民税から控除されます。さらに寄附をした地方自治体からの返戻品があるため、実質2,000円の負担で様々な返戻品がもらえるということで人気が広がっていきました。
2015年にはワンストップ特例制度が始まり、給与所得者の会社員を対象にふるさと納税の手続きが簡単になってさらに利用者は増えていきました。
その後、寄附金を集めたい地方自治体による過度な返戻品競争により2019年から下記のルールが追加され返戻品についての規制が始まりました。
・返礼品は寄附金額の3割以下の価格にすること
・返礼品と送料等の経費は寄附金額の5割以下とすること
・返礼品は地場産のものにすること

そして今月から第2段のルールが総務省から追加されたという経緯になります。

すっかり前書きが長くなってしまいましたが、今回の規制は2019年のルールをさらに厳格化したものです。
具体的には下記の2点が追加となります。
・返礼品は3割以下の価格、かつこれまで隠れ経費とされていたワンストップ特例事務や寄附金受領書の発行などの付随費用も含めて寄附金額の5割以下とすること(募集適正基準の改正)
・加工品のうち熟成肉と精米について原材料が地場産であるものに限ること、及び地場産品と地場産以外のものをセットにする場合には地場産品の価値が全体の7割以上であること(地場産品基準の改正)

この度の規制はふるさと納税の制度本来の趣旨に沿った運営がより適正に行われるようにするためですが、ルールが厳格化されることになるため9月中に駆け込みでの寄附もあったようです。
国と地方自治体のはざまで消費者が困惑するような構図ですが、これからふるさと納税を利用される方はご参考下さい。