電子帳簿保存法の改正とは?

電子帳簿保存法が改正され、来年1月から施行されます。
これにより現在各税法で紙での保存が義務となっている帳簿書類について、電子データでの保存が可能となります。

改正の概略は下記の通りです。

1.これまで電子データで帳簿書類を保存する場合には税務署長の承認が必要だったが、改正によりその承認が不要となる。

2.電子帳簿は「優良な電子帳簿」と「その他の電子帳簿」の2種類の分類され、「優良な電子帳簿」については申告漏れ時の過少申告加算税が5%軽減となる。

では、もう少し具体的にポイントを見ていきましょう。

1については、これまでも帳簿書類を紙での保存ではなく、電子データで保存することが認められていましたが、電子データで保存する場合には所轄税務署長宛に申請書を提出し、事前に承認された場合にのみ認められていました。この度の改正は経済社会のデジタル化を踏まえたものですので、電子データの保存を推進するためにも、事務負担を軽減し利用しやすい環境を整えるために税務署長の承認という制度が廃止となりました。

2については、真実性と可視性を確保したものが優良な電子帳簿とされ、具体的には
・「訂正・削除の履歴確保」(データを訂正、削除、期限後の入力を確認できる)
・「相互関連性の確保」(データとそれに関連する他の帳簿との関連性を確認できる)
・「関係書類等の備え付け」(使用しているシステムの説明書等を備え付ける)
・「見読可能性の確保」(データを速やかに出力できる)
・「検索機能の確保」(取引年月日や金額等の項目ごとに検索できる)
の要件を満たしたものとなります。そしてこれらを満たさないものがその他の電子帳簿となります。
もし申告漏れがあった場合、優良な電子帳簿であれば、本来5%~15%の過少申告加算税が5%軽減されるます。(ただし予めこの適用を受ける旨の届出書が必要となります。)


難しい論点もありますが、帳簿の全てを電子データで保存するという法令ではなく、紙で受領した請求書等は引き続き紙の保存(電子化しての保存でも可)で、例えばメールにて受領したPDFの請求書等であれば、それは電子で受領したものなので、電子で保存しましょうというルールになります。

書類の保存場所の省スペース化・業務の効率化等便利になるケースもあれば、保存の要件を満たさないため、電子でやり取りしていたものを逆に紙でのやり取りに戻すケースも考えられ、一長一短だと個人的には感じています。