税理士試験の体験談

梅雨も明けていよいよ夏本番となりました。
夏と言えばお盆や夏祭りなどイベントが盛りだくさんですが、私にとって8月と言えば税理士試験です。
通常毎年8月上旬の日程ですので丁度仙台では七夕まつりの最中で、一緒に浮かれていた年もあれば、落ち込んで過ごした年もありました。
今年でその試験に合格して10年が経ちましたので、今回は税理士試験の体験談について書いていきたいと思います。

税理士試験は5科目(会計2科目・税法3科目)の試験に合格する必要があります。ただし1年で全ての科目に合格する必要は無く、合格した科目は生涯有効ですので、1科目ずつ合格を重ねて行き5科目に合格する事が出来れば晴れて税理士試験に合格という制度の試験になっています。
実際1年で5科目全てに合格する方はかなり稀で、周りの受験仲間も数年かけて合格している方ばかりです。
陸上競技で例えれば短距離走ではなくマラソンのような試験ではないでしょうか。また5科目のうち3科目は必須ですが残り2科目は受験する科目を自由に選べますので、税法という括りでも幅跳びや高跳びのような科目もあれば砲丸投げや障害物競争のような科目もあり、自分が選んだ科目で勝負ができるのもこの試験の大きな特徴です。

私の場合、まず必須科目の3科目(簿記論・財務諸表論・法人税法)から挑み幸いにもすぐに合格する事が出来ました。会計科目の簿記論と財務諸表論については受験する前に日商簿記検定1級という資格を有しておりましたので、そちらの方が断然難しいと感じました。法人税法もあまりいい出来では無いと思っていましたので、合格の通知が届いたときはうれしさよりも驚きの方が大きかったです。
こうして順調なスタートを切ることが出来たためすぐにゴールかと思いましたが、やはりそう簡単にはいきません。ここからが本当に長いマラソンでした。
次の科目は実務で避けては通れない消費税を選択して試験に挑みましたが、これが全く受かりませんでした。途中から消費税と並行して固定資産税を受験し後から勉強を始めた固定資産税はすんなりと合格ができたのですが、やはり消費税は何年受験しても受かりません。
専門学校に通って受験勉強をしていましたので事前の模試などではいい成績を残せるのですが、本番では不合格というのが4年続きました。
ゴールが寸前で見えているはずなのになかなかそのゴールにたどり着けない状態がしばらく続き、果たして合格出来るのかと自信を失う時もありましたが、結局はもっと勉強するしかないと自分に言い聞かせてひたすら消費税の受験勉強を続けました。
時には東京スカイツリーの展望デッキで、また時にはディズニーランドの行列待ちの間も勉強を続け、受験生の中でここまでする人はいない(というよりはもはや危ない人では!?)と思えるほど追い込んで5回目の消費税試験に挑みました。それがちょうど10年前の税理士試験です。
受験が終わった直後に合格を確信するほどの会心の出来で、安堵して帰路についたのを覚えています。仙台七夕まつりの前夜祭の暑い日でした。
その試験で無事に5科目全てに合格して長かった税理士試験への挑戦が終わりました。
両親をはじめ支えてくれた家族や受験生時代から応援してくれた妻には今でも感謝の気持ちで一杯です。

基本的に国家試験であれば何事でも同じだと思いますが、その合格はようやく専門家としてスタート地点に立つことを許されたという事でしかないと思います。
税法は時代の流れに応じて毎年改正されます。試験に合格し国からその資格を与えられた責任を忘れずに、奢ることなく必死だった10年前の受験生時代と変わらぬままこれからもずっと研鑽を積んでいきたいと思います。