特定親族とは?

令和7年度税制改正で特定親族特別控除が創設されました。
今年の12月1日から施行されますので、早速今年の所得税から適用となります。それに伴い年末調整の様式も新しくなる予定です。
以前の年末調整書類と言えばマル扶とマル保と呼ばれる2種類の書類でしたが、7年前から3種類に増え、その名称も○○申告書 兼 ○○申告書 兼 ○○申告書 兼○○申告書と呪文のようになり年々覚えるのも難しくなってきました。

さてこの特定親族特別控除についてですが、大学生年代の子供がいる親の所得控除を大きくするという制度で、特定親族特別控除の対象となる子を「特定親族」と定義しています。
扶養控除の計算上、親族と名の付くものが複数あるためここで整理してみたいと思います。

まずは「控除対象扶養親族」です。16歳以上の親族で合計所得金額が58万円以下(給与収入の場合123万円以下)である者を言います。扶養控除は38万円です。

次に「特定扶養親族」です。これは19歳以上23歳未満の親族で、上記同様合計所得金額が58万円以下である者を言います。扶養控除は63万円です。
扶養控除のイメージとしては前述の控除対象扶養親族という大きい枠があり、その中でも19歳から23歳の場合は学費等の負担が大きいので特定扶養親族として控除額が大きくなっているという構図です。(ここでは割愛しますが他に控除額が大きくなるものとして70歳以上の老人扶養親族もあります。)

そして今回新たに追加されたのが「特定親族」です。これは19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が58万円超123万円以下である者です。扶養控除は63万円~3万円です。(子の所得に応じて逓減します。)
特定親族は所得が58万円超ですので、これまでは控除対象扶養親族の枠に当てはまらないため扶養控除はありませんでした。
今回新たに制度が創設されたことにより、所得が123万円以下(給与収入の場合188万円以下)までは扶養控除が受けられるようになりました。控除額は逓減しますが、給与収入150万円以下までは特定扶養親族と同様に63万円の控除が可能です。

用語に関しては特に「特定親族」と「特定扶養親族」の違いに戸惑うと思いますが、いずれも年齢は19歳から23歳で、所得が58万円以下は「特定扶養親族」、58万円超123万円以下は「特定親族」となります。

余談ですが、源泉控除対象親族という用語が新設されたことにより、令和8年からは特定親族の内、源泉控除対象親族(所得が100万円以下)であれば毎月の給与で扶養親族にカウントされ、100万円超123万円以下であれば源泉控除対象親族に該当しないため年末調整でその扶養控除を考慮することになり、その判定が加わるためさらにややこしくなります(笑)
来年の事を言えば鬼が笑うといいますので、また機会を見てお伝えできればと思いますが、コラムを書きながら今後も少しでも有用な話題を提供出来るように、日々情報をアップデートし続けて行かねばと肝に銘じています。