今年の年末調整の留意点

9月になり日に日に秋らしくなってきました。
つい先日まで暑さに疲弊する日々を過ごしておりましたが、国税庁のホームページには早くも年末調整に関する情報がアップされておりましたので、今回は年末調整について昨年から変わった点に絞ってお伝えしたいと思います。

今年は定額減税が実施されました。
年末調整では、年末調整時点の定額減税の額(以下「年調減税額」)を算出して最終的な年税額から年調減税額を控除するという点が例年と変わってきます。
年末調整作業の流れとしては3段階に分けれます。
まずは1段階目としてこれまで通り年末調整により所得税を算出する。次に2段階目として年調減税額を計算する。最後に3段階目として1段階目の金額から2段階目の金額を控除して復興特別所得税額も考慮した最終的な年税額を確定させるという流れになります。
基本的に年末調整の対象となる人は上記のように年調減税額を控除する作業を行いますが、年末調整対象者のうち給与所得以外の所得を含めた合計所得金額が1,805万円を超えると見込まれる人については定額減税の対象外となり、年調減税額を控除しないで年末調整を行うことになりますのでこの点も注意が必要です。給与収入のみで2,000万円を超えれば定額減税の対象外となりますが、そもそも給与収入が2,000万円を超える人は年末調整の対象外となっておりますので、給与所得以外の所得を含めた合計所得金額が1,805万円という点がポイントです。従いまして基礎控除申告書などにより給与以外の所得を把握する必要があります。
年調減税額は「本人30,000円」と「同一生計配偶者と扶養親族1人につき30,000円」との合計額となりますので、その計算に当たっては「扶養控除等(異動)申告書」や「配偶者控除等申告書」などから年末調整を行う時点での同一生計配偶者の有無と扶養親族の人数を確認する作業も必要になります。

上記までの令和6年の年末調整の留意点を端的にまとめると、最終的な年税額から年調減税額の控除を正しく行うという点及び一律に年調減税額を控除するのではなく所得金額によっては対象外になる場合もあるという点が挙げられます。
実務上は給与システムで対応しているケースがほとんどかとは思いますが、今年はイレギュラーな形式になりますので、必要に応じて国税庁のホームページから年末調整計算シートのエクセル様式をダウンロードするなどしながら正しく年税額の計算を行いましょう。