所得金額調整控除の適用漏れはないですか

今年も年末調整の時期がやってきました。

令和4年分の年末調整は大きな改正事項はないため、令和3年分からその手続きに変更点はありません。
しかし年末調整の作業も、以前は2枚だった書類が3枚に増えたり何やら聞きなれない言葉が出てきたりと年々難しくなっているような印象があります。

そんな中、今回は適用漏れが散見されている所得金額調整控除について触れていきたいと思います。

平成30年度税制改正で給与所得控除や基礎控除の見直しが行われた際に、子育て世帯などへの配慮として所得金額調整控除が設定されました。
その概要は給与等の収入金額が850万円を超える居住者で23歳未満の扶養親族を有する者等を対象に、給与等の収入金額(上限1,000万円)から850万円を控除した金額の10%相当額を給与所得から控除できるというものになります。

この控除は令和2年分以後の所得税から適用されており、適用要件として所得金額調整控除申告書の提出が必要(確定申告での適用も可)ですが、まだ認知度が高くないために年末調整の際にその申告書欄の記載が漏れて適用していないケースが散見されているようです。
今年の年末調整の際にも、ご自身がこの所得金額調整控除に該当しないか、もし該当すれば所得金額調整控除申告書(正式名称が「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」というやたらと長い名称の申告書です)に記載漏れがないか確認しましょう。

ちなみにこの所得金額調整控除は、扶養控除のように同一生計内のいずれか一方のみに適用するものではなく、夫婦ともに要件を満たせば夫婦双方で適用できるものになります。この点も勘違いしやすい所ですので、共働きの場合は併せてご確認下さい。

所得金額調整控除の適用対象者
その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で以下に該当する者
・年齢23歳未満の扶養親族を有する
・本人が特別障害者に該当する
・特別障害者である同一生計配偶者を有する
・特別障害者である扶養親族を有する